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2004/01/21、NHK千葉FMに柴崎出演

22004年1月21日、NHK千葉、FM放送「まるごと千葉60分」にウォーターネットワーク代表の柴崎が生出演、「水の音原風景」プロジェクトのロングインタビューが放送されました。

「まるごと千葉60分」はウィークデイの午後6時〜7時まで、毎日のニュースや記者解説、話題の人を招くゲストコーナーなど、千葉県の今がわかる1時間番組です。

ウォーターネットワークを始めたきっかけ、水と和楽器を結びつけた理由、「水の音原風景」プロジェクトの今後など、約20分間にわたった話が生放送され、「水の音原風景」プロジェクトの楽曲も流されました。

番組名:「まるごと千葉60分」
放送日時:2004年1月21日(水)午後6時20分〜6時45分
キャスター:河内正、柿花あゆみ
流された楽曲:「Moon Forest」(横谷基作曲)、「濤声」(愛澤伯友作曲)、水分(みくまりの森)(小林純作曲)
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主な放送内容

〜音楽 CD「森の音、水の響き」より「Moon Forest」〜
柿花
本日は、和楽器を通じて水の大切さを訴える活動をされているウォーターネットワーク代表の柴崎勉さんをお迎えしております。このプロジェクトについてお話を伺ってまいります。
河内
まず、ウォーターネットワークの活動について伺いたいと思います。この活動はどういったものでしょうか。
柴崎
ウォーターネットワークは、名前の通り、水のつながりをテーマとしたNGO団体です。水は生命の根源と言われていますように、環境、文化、生活、産業、健康福祉など、水は様々なつながりがあります。ウォーターネットワークでは、この様々な分野を横串にそのつながりを捉えながら研究と活動を行っております。
河内
柴崎さんが水に関する活動を始めるきっかけになったものは何でしょうか。
柴崎
私は30歳前後の時、コンサルティングの会社でかなり不自然な生活をしておりまして体調を崩した時期がありました。その時に、自分の健康を回復することをいろいろ模索する中で、水の大切さを実感することがありまして、水に関する活動をライフワークにしようとでスタートしたのです。
河内
水のつながりを研究や活動していくというのはいろいろなやり方があると思いますが、その音楽でというのはどういうことで?
柴崎
当時、たまたま偶然ですが、ある尺八演奏家の野外での演奏を聴く機会がありまして。周りの森のざわめきとか、かがり火の薪のはじける音とか、野外の自然と尺八の音色を聴いた時に思いっきり心に響いてしまいまして・・・。
柿花
それはどこだったんですか?
柴崎
埼玉県の秩父ですが。私、埼玉県の秩父出身で、秩父神社の観月会という、お月見をしながら和楽器の音色を聴くという会がありまして。そこで出会った演奏家、田辺洌山さんという方で。翌日その方の電話番号を聞きだして、その方のところにおしかけたというのが出会いのきっかけです。
柿花
その方は尺八の方ですか?
柴崎
ええそうです。その方を通じて和楽器のことを知っていくうちに、自然や水との関わりが深い楽器ということを知るに至りまして、音や音楽を通じて自然を捉えた活動は何か意味があるかなと感じました。
河内
そのお話の、和楽器と水の深い関わりというのはどういうことでしょうか?
柴崎
日本の伝統楽器というのは、尺八だったら竹、筝(こと)だったら桐、鼓だったら胴には桜の木が使われておりまして、まさに日本の「木の文化」「森の文化」であって、それは振り返ってみますと、日本の豊かな雨が育んだ森であります。その森の産物である木の素材を使った和楽器というのはまさに森の音、自然の音であって、その元を辿れば水の音に何かつながるのではないかというところが発想の原点だったんですが。
柿花
つながってもいるし、切っても切り離せない関係ってというんでしょうか。
河内
柴崎さんご自身は和楽器に興味を元々お持ちだったのでしょうか?
柴崎
まったくありませんでした。かなり偏見があったかも知れません。何か格好悪い世界かなと先入観を持っていまして。それが、野外で田辺洌山さんの尺八の音色を聴いた時に、こんなに美しくかっこいい世界があったんだということに衝撃を受けまして。そこから和楽器のことにのめり込んでしまったんです。
柿花
そしてご自分が感じた水の大切さとどんなふうに結びつけていこうと思われたのですか?
柴崎
私どもがいろいろ水の環境問題を捉えてアピールしていっても、それを頭で理解している方はたくさんいらっしゃると思いますが、それがどれだけ普段の生活の中で心がけに通じているかというと、なかなかそこまで気をつけることもできないことが多くて、おろそかになりがちだと思うんです。
それを、じゃ普段から心がけていただくためには、心の奥底で、「ああ本当に水って大切なんだ。近くを流れている川が汚いっていうことは、我々の血液、体液も同じように汚れているんだ。一体なんだ。」っていうことをが心に響くことが必要なんじゃないかと思いました。それは、音楽、和楽器というものが一つの方法として何か可能性があるのではないか、何かやってみたいと思いまして、そこから共感いただいた和楽器の演奏家や作曲家の方々とこのプロジェクトがスタートしたわけです。
河内
楽器でも、洋楽器ではちょっと合わないというイメージがおありだったのでしょうかねー。
柴崎
身近な自然環境を考えるには、日本の雨や自然から育まれた楽器ということが一番入りやすかったことなんです。洋楽器のことも最近いろんな方と連携させていただく機会もあるんですが、ヴァイオリンとかも川の流域にいい工房があったりとか、水とのつながりも確かにあるようです。
ただ、和楽器はより自然の音とともに育まれてきた楽器と見ることができて、和楽器の音にはいろんな雑音が含まれていて、野外の自然の中にある雑音と近いものを持っていると言えます。野外で和楽器の音色を聴くと、普段気づいていなかった野外の様々な音にも気づくことになります。それは、自然の様々な姿に気づくことにもつながるのではないかと思います。
河内
とかく音楽会、コンサートっていうと音響効果のいい場所でということがありますが。
柴崎
そうですね、ホールの中で純粋にその楽器の音を聴くということがあると思いますが、自然の音や様々な雑音とともに聴いてもその素晴らしさが和楽器にはあると思います。まさに、自然界の音っていうのは雑音そのもので、和楽器の音にもわざわざ雑音を作っている部分があります。尺八のむら息や三味線のさわりなどがそうですね。
河内
そうしますと、尺八、鼓や筝など、これ以外にも今お話のように生活音も音楽として扱おうといいましょうか。
柴崎
そうですね、それも環境の中の自然の音として一体に捉えて五感で感じて欲しいと思っております。
河内
屋外でのコンサートが主になるわけですね?
柴崎
そうですね、そういった自然の音と共に和の音を聴いてほしいという思いがあります。
河内
例えば、突如雨になったという時はどうされるんですか?
柴崎
それが、毎回、寿命が縮まる思いをしているのですが、そういった時には、我々は自然にはかないませんので、屋内で実施をするようにしています。計画段階から野外と雨が降った場合の屋内会場をダブルスタンバイして、雨が降ったら屋内に入るということにしています。
屋内に入った時も、体育館の屋根を打つ雨音がすごくよかったとか言って帰られる人もいらっしゃいます。それも恵みの雨、水であって、我々の考えている一期一会の、その日その時間の自然環境と音楽を一体となって感じてほしいと考えています。
河内
なるほどーねー。今、屋根を打つ雨の音も木々に降りかかる雨のサーっていう音も。
柿花
特別参加なんですねー。
柴崎
そうですね。昔は、風が雨戸を叩いて・・・。今はマンションとか密閉された生活空間ですから、自然の音ってなかなか気づいていないことが多いと思いますが、こういったコンサートで楽器に耳を澄ますと、他のいろいろな音が聞こえてくることがあります。その音に気づくことは、普段忘れている自然や周りの環境について新しい視点で見るということにつながると思います。
河内
そのように屋外で主に演奏されるということですが、それ以外に活動としてどんなことをされますか?
柴崎
この「水の音原風景」というプロジェクトは音楽、和楽器を主体としていますが、環境的な水の側面を感じていただく環境体験プログラムを複合的に実施をしたり、子供たちに遊びながら水の特性を知ってもらったり、身近な水がどのように汚れているかなどを実験で体験いただくことも実施しております。
柿花
そういくこともあって、水の近く、河川敷や湖畔などでもコンサートをい開いているわけですね。
河内
そうですか。子供さん達に実際に体験もしてもらうという部分もあるわけですね。
では、後半は、もう少しこの音楽活動の内容について伺ってまいります。
河内
えー、先ほど、子供さんたちも対象にというお話がありましたが、私なんかもそうですが、最近の子供さんたちは和楽器ってあんまり接する機会も少ないわけですが、子供さんたちの反応はいかがですか?
柴崎
これがすごく面白い反応があります。私たちのプロジェクトは「次世代の子供たちへ伝えるもの」というテーマもありまして、子供たちにいろいろな体験をしてもらう試みを行っています。一緒に音楽を作るなんていうことも行っています。子供たちの合唱と和楽器の音を融合させて一緒に舞台に立つなんていうこともあります。
和楽器の体験や和楽器を聴くということは、ほとんどの子供たちが初めての体験で、びっくりしますね。尺八が自分たちが学校で吹いているリコーダーと全然違うっていうことを知りびっくりしますね。
柿花
まず、学校のリコーダーは空気を入れればすぐ音が出るようになっていますけど。尺八はまずそうはいかないですものね。
柴崎
子供たちに実際に手に取ってもらって吹いてもらうのですが、いかに音が出ないものなのか、でもこうしたら音が出るっていうので、子供たちが尺八を奪い合うように大騒ぎになります。
先そして、演奏家が吹いた音色も、自分が吹くリコーダーの音や普段聴いている音楽の音色とは違うんだということも感じてくれます。入観がないだけに、素直に体に響いているのかも知れません。
柿花
柴崎さんが最初に尺八の音に魅せられた時のように子供たちもやっぱり何かを感じとるのでしょうね。
柴崎
私どもも、いろいろな小学校とか木造校舎とかで子供たちとこの体験をしてもらうのですが、終わった時の感想文とか読むと、その体験がいかに驚きだったかということがわかります。
今は、学校教育の中で和楽器の授業が義務化されたりしてきていますが、子供の時から日本の伝統文化、伝統楽器や音楽に触れることは大切なことではないかと思っております。
河内
さあ、ウォーターネットワークの和楽器のプロジェクト、最初はどこでコンサートを開いたのですか?
柴崎
私が荒川の上流の秩父というところで生まれ育ったということもありまして、最初は荒川の上流の長瀞という景勝地がありまして、その岩畳に舞台を作りまして、川のせせらぎを聴きながら、ちょうど中秋の名月の頃だったのですが、月を見ながら和の音を聴こうということで企画しました。
柿花
場所探しっていうのも難しいでしょうね。
柴崎
そうですね、普段から行ったり見たりしながら、ここでやりたいっていう所を見つけて一つ一つ実現に向けてやってきました。
河内
長瀞のコンサートが最初で、それから日本国中あちこちでこのコンサートを持たれているわけですね。
柴崎
そうですね。一つのモデルとして荒川の源流で実施して、中流、そして、河口まで川の流れを辿ったものもありますが、九州や岡山、奈良、京都、岩手など日本各地で実施してきています。
河内
で、今や国内はおろか、なんと海外まで行かれていて。
柴崎
そうですね。2001年に南米ツアーを実施しました。
イグアスの滝をスタートに、そこでデモンストレーションをしまして、パラナ川、ラプラタ川という、国境を超える川を辿って4ヶ国、7ヶ所で連続公演を実施しまして、各地で大変絶賛いただきました。
河内
ラプラタ川はよく聞く、大きな川なんでしょう。
ほー。その南米で演奏したという、その時の録音ではないんですが、音楽がCDでありますので、ちょっと聴いて見ましょうかねー。
〜CD「森の音、水の響き」から「濤声」〜
河内
これは、曲は何ていうタイトルなんでしょうか。
柴崎
これは、「濤声(とうせい)」という曲で、波の声というタイトルで、尺八と大鼓という楽器による曲です。
河内
我々日本人でもなかなか和楽器に接する機会が少ない、この南米の方たち、外国人の方たちにとってどんな反応がありましたか?
柴崎
いやーすごい反響で、スタンディングオベーション状態でした。鼓は掛け声が入りますので、それに対する反応や盛り上がりがすごかったですね。
柿花
「よーっ」とかですね。それから、柴崎さん、途中に随分「間」があって、私たちも聴いていてドキドキしてしまったんですが、敢えて曲づくりもそういう風にされているのですか?
柴崎
そうですね。日本の伝統音楽、文化にはこの「間」が非常に多くありますので、そういうことも大切にしています。そして、この「間」の間にいろいろな自然の音が聴こえてくるということがあります。
柿花
そうか、実際の場所ではねー。今スタジオで聴いてきるから、間は間ですけれども。
柴崎
それが、絶妙の間で、かがり火がはじけたり、鳥が鳴いたり、いろいろな音がこの音楽にからんで反応してきます。それが面白いですね。
河内
そうですかー。まあよく、音楽には国境がないなどと言いますけどもねー。我々が勝手にわかり難いのではないかと思うだけであって、南米でも大成功をおさめたということなんですね。
柿花
何かは伝わるのですねー。
河内
さあ、国内に目を転じますけれども、こういったコンサートを通じて当然、水の大切さっていうものを皆さんに知っていただこうということでしょうねー。どうでしょうか、そういった意味での反応は。
柴崎
そうですねー。普段気づいていない文化とのつながりとか、生活とのつながりを、普段気づいていない視点で実感していただくことが多いので、アンケートとか拝見しても、普段の心がけをしていきたいという声を多くいただいています。
河内
そうですかー。さあ、手元のこれまでのコンサートの会場などを見てみますと、千葉は今までないんですねー?
柴崎
ええ。いろいろやりたいっていう思いはあったのですが、地元ということもありましてちょっと後にまわしてしまったこともあったのかも知れませんが、これからいろいろ考えていきたいと思います。
柿花
でも、今日はちょうど、柴崎さんは実は木更津のかずさアカデミアパークでコンサートを終えてこられたばかりということで。
柴崎
そうですね、和の音楽をちょっと紹介する機会がございましたので。
素晴らしいホールと環境で実施をしてまいりました。
柿花
あそこはね、ご存知の方いらっしゃるかと思いますが、まさに水に囲まれたコンサートホールで、素晴らしいコンサートホールですからねー。柴崎さんたちのメインテーマに合うところなんじゃないかと思いますけれども。
柴崎
本当にそうですねー。
河内
千葉でやる場合は、何といっても利根川ですね。代表的な川ですからね。
柿花
そうですねー、322キロあるそうですから。
柴崎
ずっと利根川ではやりたいと思っているのですが。
柿花
是非、お願いします。
河内
それと、水に関すれば、谷津田など、千葉にはいろいろありますからねー。
柿花
なかなかセッティングは難しいかも知れませんが、是非是非、千葉の自然を生かした場所でもなさっていただきたいなーと思います。
河内
是非、千葉でコンサートを開いていただけたらと思います。
柿花
じゃ、最後になりましたけれども。まず今年の予定をお伺いしたいと思います。
どんなことを予定されていますか。
柴崎
今年は、熊本で一つ実施を計画しております。熊本はご存知のように「火の国」と言われていますが、「火」と「水」ということをテーマに実施したいと思っております。阿蘇山の火山が育んだ美しい水もありまして、その「火」と「水」のつながりをテーマに実施したいと思っております。
そして、もう一つは学校プロジェクトということで、森の文化の一つである木造校舎での実施を考えております。
そして海外では、韓国・ソウルでの実施したいと考えております。和楽器の源流もシルクロード、大陸、半島から伝来しておりますので、その源流を辿るという意味も含め、今年来年と韓国でのプロジェクトを考えております。
河内
そうですかー。水の大切さを音楽で伝えようというお話し十分にわかりました。今後、取り組みたいと思っていらっしゃることはどういうことでしょうか。
柴崎
そうですね、森が育んだ水は土に通じ、また、私たちの食に通じていきます。そうのような様々なつながりの視点を広げた活動へつなげていきたいと思います。そして、水は我々が使ったものが、いつか地球の裏側で使われる、汚した水はいつか地球の裏側で使われるということになりますので、更に地球規模の視点をもって活動へつなげていきたいと思っております。
河内
はい、夢は地球規模の活動へということですね。今後ともどうぞご活躍をお願い致します。
今日はどうもありがとうございました。
柿花
尚、皆さんの活動は昨年の6月になりますけれども、「日本水大賞」と言いまして、健全な水の循環に貢献した活動を称える第5回の日本水大賞の審査部会特別賞にも受賞されていたということを添えておきます。
今日は和楽器の演奏を通じて水の大切さを伝えていこうという活動、ウォーターネットワークの活動について、代表の柴崎勉さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
さて、それではこのコーナーの結び、もう一度このプロジェクトの演奏家たちによる演奏をお届けしたいと思います。
「水分(みくまり)の森」、お聴きいただきましょう。
〜音楽 CD「森の音、水の響き」より「水分(みくまり)の森」〜
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