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横谷 基(Motoi YOKOYA)

1952年札幌生まれ。国立音楽大学作曲科卒業、作曲を溝上日出夫師に師事。在学中より音楽集団「空間工作室」を結成、音と空間との新しい関係を目指す。
1979年札幌教育文化会館において2台のピアノのための作品「Motamor-fosis」を発表。1990年、自身の即興演奏グループ「工房88」により、武尊山中で行われたクリエーティブリゾートツアー「森と風と光と音の世界」において音楽担当。1993年邦人作品演奏研究会にてピアノのための作品「音画」「時、闇を待つ」を出品。その他、室内アンサンブル作品を中心に委嘱作品多数。
現在、NHKなど放送関係の音楽、ポピュラー音楽の作編曲など幅広い活動を行なうかたわら、ピアニストとして、アートと結びついた即興演奏活動を「Sound Sculpture」シリーズとして、ギャラリーを中心に行なっている。

ウォーターネットワークのためのオリジナル作曲


「水琴窟の庭」〜音景のためのシミュレーション
尺八+コンピュータープログラミング
この作品は、風の動き、雨量など自然の持つダイナミズムを作曲の要素の中に組み入れてつくられたものです。本来は、いくつかの造形物(彫刻など)に音の出る機構を組み込み、それを自然(風、雨など)のダイナミズム変化によるコントロールによって音が出されるように考えられたものです。今回はそれをコンピューターによってシュミレーションしました。
“音を自然の中に開放する”これがこの作品のコンセプトですが、音と自然との対話、又、独奏尺八との音の対話の中に、音の風景が見えてくるということがイメージの中心となっており、副題として“音景のためのシミュレーション”というものがつけられています。
作品全体の構成は、尺八独奏部分をはさんで三つの部分に分かれており、風、雲、水という小題をつけました。

「月下流水」
筝ソロ
流れる水のごとく移り変わる表情の変化を、音で表現してみたい。そういった視点から書いてみた曲です。
全体に即興的な雰囲気の強い曲ですが、微妙な響きの変化に注意を払って作曲しました。流れ行きながら自由に姿を変え、なおかつその中に強い力を感じさせる水の動き。それを月明かりの中で一つの音楽として聞いてみたい。そんな思いをこめて書いた曲です。

「Waves I、II」
尺八+筝+小鼓+コンピュータープログラミング
“波動”と題したこの曲はリズムと構成に特徴のある二つのパートに分かれます。
この曲を書くにあたり強くイメージしたのは、波のうねりの持つダイナミックな力感です。それを音の中にいかに色彩的に表現するかということに重点をおいて作品を書きました。
邦楽器の音の持つ独特の線の太さ。シンセサイザーで制作した色彩的なオーケストラ的部分。この二つがからみあう中に、ある種の“うねり”が感じられればと思っています。

「風の記憶」
尺八+筝

「ing」
尺八ソロ

「Moon Forest」
尺八+筝+コンピュータープログラミング
マックス・エルンストの絵に月と森を描いたものがあります。全体に暗い色調の中に、あざやかな黄色の月が印象的な作品。その月に照らされた黒い森は柔らかな月光によって守られているようであり、その森の奥には心やさしき者たちの営みが、ゆるやかな時間の中に繰り広げられているように感じさせてくれる幻想的な絵です。
この曲はそのような光景を“音の絵”として描いたつもりです。果たして森の中で行われていることは、月に憑かれた狂気なのか、あるいは森の持つ魔力なのでしょうか。

「Legend−森と山と人と」
尺八+太鼓+筝+コンピュータープログラミング
森の中を歩くと、ある不思議な感覚にとらわれることがあります。
それは包まれるような暖かさであるのかもしれませんし、犯してはいけない何かに対する“恐れ”であるような気もします。たぶん森の中には外界と隔絶された時の流れがあるのでしょう。長い時間の中で変容しつつける森というものが、その中にいくつもの伝説を生み出しているようでもあります。
私はその力強く静かな世界を音にしてみたかった。もちろん、充分な“おそれ”を感じながら・・・。
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