平安時代に「白拍子」という、歌って舞う女性アーティストがいた。「水の白拍子」とも呼ばれる彼女たちは、日本の女性プロ・ミュージシャンの始まりでもある。
ヴォーカリスト(天台声明)、作曲、民族音楽の研究と幅広い活動を行なう桜井真樹子が、声明と雅楽により独自の世界を創り上げている。
〔発売元:バンブー〕
ライナーノーツ「水猿曲」より
優れている水として忘れられないものを揚げていくと、まずは西の彼方からは天竺(インド)の白鷺池〔注1〕。これは清らかに静かにたたずんでいる。昆明池〔注2〕の水の色は、いつまでも永遠に澄むという。
賢人〔注3〕の釣糸を垂れているのは厳陵瀬でそこの河の水も優れている。月影で洩れるのが見えているのは、山田の筧であるとか。蘆の下葉を閉ざしているのは、三島入江〔注4〕の氷水のせいだ。
それが、春になると、その空の下の若水は、汲んでも汲んでも、尽きることがないのだよ。
- 演奏家
- 桜井真樹子:声明
- 笹本武志:龍笛・排嘯
- 中田太三:笙・琵琶
- 中村仁美:篳篥・楽筝
- 収録曲
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1.四智梵語讃〔Shichi-bongo-no-san〕
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2.平調音取〔Hyojyo-no-netori〕
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3.廻忽〔Kaikotsu〕
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4.早鬢多々良〔Hayabin-tatara〕:復曲・芝祐靖
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5.壱腰調音取〔Ichi-kotsucho-no-netori〕
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6.諸天漢語讃〔Shoten-kango-no-san〕
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7.吉慶梵語讃〔Kikkyou-bongo-no-san〕
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8.水猿曲〔Mizu-no-en-kyoku(shirabyo-shi, Water's female performer)〕:復曲・芝祐靖
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9.伊佐立奈牟〔Izatachinamu〕:復曲・芝祐靖
- 価格
- 2,800円(送料・税別)
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- ウォーターネットワーク事務局(メール送信):waternet@be.mbn.or.jp
注2「昆明池」:漢の武帝が長安の南西に造らせた池。
注3「賢人の・・・」:光武帝が若き日に同学であった厳光を登用しようとしたが、厳光は厳陵瀬に釣をして応じなかった故事による。
注4「三島入江」:摂津国の歌枕。